先日の綿花の栽植密度海外編に続いて国内編です。

日本での綿花の畝間、株間は、品種や場所により(個々の事情により)かなりばらつきがあります。
畝間80cm 株間30cmから畝間150cm 株間120cmまでいろいろです。

畝間、株間とも1mを超えてくると、野菜を育てる間隔(感覚)に近いですね。
体験学習やボランティアなど多くの人が来る場所は、意図的に広い畝間を取っていることもあります。機械の幅の都合もあります。

綿について詳しい書物を引用すると
「アジア棉の場合、畦幅60cm株間10cm、陸地棉の場合畦幅70cm〜75cm株間20〜30cm」(西川五郎、工芸作物学*1)
「間引き(株間12cm程度1本立て)」(平野寿助. 日本の特産農作物*2)
とあり、現在、実際に栽培されているより、畝間、株間とも小さい栽培方法が勧められています。

上記書籍の通りが土地利用的には効率的と思います(雑草も生えにくいだろうし)。
特に、国内での栽培は特に綿栽培にとっては涼しい気候なので、
密植させて生育を早める方が良いと思います。

ただ、畦幅60cmで綿を育てたことがありますが、かなり狭く、収穫や管理が大変でした。そうするとやはり畝間80cm〜1m程度に広めにとって、株間10cm〜30cmぐらいが適当になるのではないでしょうか。
個人的には現在国内で栽培されているよりもっと密植させた方が良いと思っています。

ただ、綿を販売することで収入を得ている人は日本ではごく少数で、どちらかというと体験学習や文化の継承など、販売以外の目的の栽培が多いので、そのような場合は広めに取ることになりますね。

土地の質や水分量、品種、気候などいろいろと条件が異なるので、引き続き検討してみたいところです。

*1 西川五郎. 工芸作物学.農業図書株式会社. 1960. p114.
*2 平野寿助. 日本の特産農作物 第2章各論 棉. 監修: 農林水産省農蚕園芸局畑作振興課. 株式会社地球社. 1987. p156